前回はヘキサゴンレンチについて「Wera」と「PB」を比較しましたね。
実はこの2メーカーはスクリュードライバーの性能に関しても1・2を争うメーカーなんです。
プラスドライバーはもっともポピュラーな工具として知られています。
おそらくどこの家庭にも1本はあると思います。
ところが、プラスドライバーというのは数ある工具の中でも意外と扱いが難しい部類の一つなんです。
プラスドライバーを使用する時に一番良く起こるトラブルとしては
「カムアウト」つまり「ネジが潰れる事」ですよね。
よく、7押し3回しなんて聞きますが、それを守っていたとしても、ネジが錆びていたり、ドライバーの角度が悪いとすぐにネジが潰れます。それだけプラスドライバーは扱いが難しい工具です。
そして、工具の良し悪しが非常に解りやすいのも、スクリュードライバーなんです。
あまり工具に興味が無く、リーズナブルな工具を使用している方も、ドライバーに関しては
高級なものを選ぶほうがいいと思います。
おそらく、この2メーカーのドライバーを使った後は、100円均一で買ってくるようなドライバーなんて「初めから壊れているんじゃないの?」と思うんじゃないでしょうか。
まずは
「PBスイスツールズ」から
ドライバーの一番重要な部分はなんと言っても「先端」です。
先ほど説明した「カムアウト」もドライバー先端とネジ側が
ピッタリ接触していれば起こらない現象です。
PBのドライバーはネジに差し込んだときに、ほとんどがたつきがありません。
(もちろん、ネジの規格に合わせて、ドライバーの大きさも変えてもらう必要はありますが)
写真のとおり、少し回せばマグネットが付いているわけでもないのにビスがドライバーから落ちません。
先端の形状が正確だからこそ成せる技です。
でも「日本のホームセンターに行けば先端にマグネット付きのドライバーがあるじゃないか」と思う方もいると思いますが、基本的にはこういった高級ドライバーには先端にマグネットを入れるようなことはしません。
マグネットが表面にコーティングされていると確かにビスは落ちませんが、次第に表面が剥がれてきて痩せてしまい、がたつきが生じます。
また、精密部品の周りや、磁気があるとまずいような箇所では使えません。
さらに、表面に
砂鉄や
ネジが潰れた時に出る削れ粕が付着してしまい、ビスを回す際に傷つけたり、ビスを潰してしまうこともあるのです。
なので、マグネットが無い高級ドライバーで、奥まった箇所などを締めるなど「どうしてもマグネットが必要」な場合には
「マグネタイザー」というものを使います。
マグネタイザーとは工具を磁気化させるもので、鉄など磁石にくっつくものなら何でも磁気化することが出来ます。
使用後は磁気を簡単に無くすことも出来るのでとても便利です。
↑PBのマグネタイザー
↑Weraのマグネタイザー
PBのドライバーは先端だけでなくグリップ部分にもこだわりがあります。
「スイスグリップ」と呼ばれる独特の形状と材質で非常に持ちやすく設計されています。
次に
「Wera」です。
WeraはヨーロッパではNo.1のシェアを誇るドライバーメーカーです。
ちなみに、私も「Wera」を愛用しています。
Weraのドライバー先端は形状もさることながら、特殊な加工が施されています。
「レーザーチップ加工」と呼ばれているもので、レーザーにより先端が細かくトゲトゲになっています。
これによりさらにビスとの食いつきが良くなり、カムアウトを防ぎます。
↓写真のようにビスを持って逆さにしても落ちません。それくらいすごいのです。
ただ、トゲのせいで若干ビスに痕が残ることもあり、Weraを嫌う人も中にはいます。
そこで登場したのが「ダイヤモンドコーティングタイプ」です。
表面に工業用ダイヤモンドをコーティングしてビスに食いつかせています。
レーザーチップ加工ほど食いつきはしませんが、カムアウトは防ぐことが出来るタイプのドライバーです。
日本では人気のモデルですが、金額はレーザータイプよりも若干高めに設定されています。
やはり、生産コストが高いということと、実は本場ヨーロッパではレーザーチップタイプの方が人気があり、ダイヤモンドタイプは一時生産中止になるほどだったためです。
さて、Weraのドライバーはグリップ部分に独自の形状を採用しています。
これはクラフトフォームと呼ばれ、人間の手に最もなじむ形状を狙って作られています。
以上「プラスドライバー」に関して言えば
PBも
Weraもどちらも素晴らしい工具ですが、私はWeraを使っています。
やはり、食いつきがちがうので安心してビスを回すことが出来ます。
↓ちなみに、最近ではこのような高級ドライバーには柄の部分にヘキサゴン加工がされているものが増えてきました。
これは「ボルスター」と言うもので、メーカーによって形はさまざまですが、手のスナップだけではどうしても回せないような時に、スパナやソケット等を使用してさらにトルクを掛けることができるものです。
ドライバーの先端加工技術が進化したことにより、スパナ等を使ってもカムアウトせずに回すことができるということですね。
プラスドライバーに関しては「Wera」が良いと思います。
しかし、
マイナスドライバーに関しては「PB」のほうが上だと私は思います。
↓一般的なマイナスドライバーをよく見てみると先端はテーパー状の仕上げになっています。
当たり前のように使用してきましたこの形ですが、実はあまり良くない形なんです。
↓ところが
「PB」はこういう形をしています!
(クリックで拡大)
写真の通り、左のPBのマイナスドライバーは先端が少しえぐってあるような形をしています。
これは「パラレル加工」と呼ばれるものです。
↓下の画像を見てもらえれば一目瞭然!(クリックで拡大)
(画像:ワールドインポートツールズ様)
お解りでしょうか?左が「PB」です。
一般的なマイナスドライバーは点で接触するのに対し、
PBは面で接触しています。
面接触のほうが力が分散するので、ビスに優しい形状だということです。
なので、マイナスドライバーに関しては「Wera」よりも「PB」のほうが優れています。
プロのメカニックの方たちも、マイナスだけはPBを所有していることも多いと聞きます。
私はまだ持ってませんが、「欲しい工具リスト」の中の一つです。(笑)
ちなみに、PBのマイナスの先端はその形状からも解るように薄く作られています。
決して貫通ドライバーのように叩いて使用してはいけません。すぐに折れます。
工具メーカーにとって「スクリュードライバーの先端」=「社運がかかっている」
といっても過言ではありません。
日本のホームセンターにはいわゆる「貫通式ドライバー」という柄の部分をハンマーで叩いて使用する工具がよくありますが、
実は海外(高級メーカー)では、つい最近までそんな工具は存在していませんでした。(たしか・・)
ドライバーの柄の部分からハンマーで殴れば、ドライバー先端の形状はしだいに変形してしまいます。
社運をかけて設計したドライバーをこのように使うということ自体、ありえないことなのです。
日本では貫通ドライバーが多く出回っていたため、最近になり海外メーカーも日本向けに「貫通ドライバー」を生産し始めました。(私の知るかぎりでは・・)
「PB」や「Wera」と言えど、この貫通式のドライバーは精度云々よりも柔らかさ重視(叩いても割れないように)で設計されているのでくれぐれもお間違えなく。
ふ~っ。とっても長いブログになってしまいました・・。(^▽^;)
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